2026年版・5-10

品質管理:試験・検査(仕上工事)の一問一答

1級建築施工管理技士「施工管理法」から、品質管理:試験・検査(仕上工事)に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問15-10

タイル張り工事の試験および検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①モルタル張りの引張接着強度は、0.4N/mm2以上とする。
  • ②打診による検査は、打診用の棒を用いて張り付けた面の全面について行う。
  • ③タイル張り面の打診検査は、張り付けた直後に全面について実施する。
  • ④引張接着試験は、タイルを張り付けてから2週間以上が経過してから行う。
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正解 ③タイル張り面の打診検査は、張り付けた直後に全面について実施する。
解説
タイルの打診検査は、棒で表面を軽くたたいたときの音の違いから、タイルと下地の間にすき間があるかどうかを判断する検査です。張り付けた直後は、張付けモルタルや接着剤がまだ硬化しておらず、健全な部分でも音がにぶく響くため、浮きがあるかどうかを音で区別することができません。それどころか、硬化の途中に打撃を加えると、まだ弱い接着の面をこちらから壊してしまい、本来は健全であったはずのタイルに浮きを生じさせるおそれさえあります。そのため打診検査は、張付け材料の硬化が十分に進んだ、施工後2週間以上が経過した時点で行うこととされています。同じ理由から、引張接着試験も2週間以上の経過を待って実施します。検査は早ければよいというものではなく、材料の性質が定まってから行うことに意味があります。

他の選択肢が不適切な理由
「引張接着試験は、タイルを張り付けてから2週間以上が経過してから行う。」は正しく、張付け材料の強度が発現しきってから引っ張らなければ、施工の良否ではなく硬化の途中の状態を測ることになってしまうからです。「モルタル張りの引張接着強度は、0.4N/mm2以上とする。」も正しく、外壁のタイルが自重と風圧と温度変化に耐えて剥落しないための下限として定められた値だからです。「打診による検査は、打診用の棒を用いて張り付けた面の全面について行う。」も正しく、浮きは局所的に生じるため抜取りでは見落としが生じ、剥落は人身への危険に直結することから全面で行うからです。

試験の罠
打診検査も引張接着試験も、いずれも施工後2週間以上が経過してから行います。直後、翌日、1週間といった短い期間が書いてあれば誤りとみてよいでしょう。引張接着試験は下地に達するまで切り込んでから引っ張る点も、あわせて問われます。
問25-10

塗装工事の素地および塗膜の検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①コンクリート面のアルカリ度は、水素イオン指数が9以下であることを確認する。
  • ②コンクリート面の素地の含水率は、20%以下であることを事前に確認する。
  • ③塗膜の厚さは、使用した塗料の量と塗った面積から塗付け量として確認する。
  • ④鉄鋼面に塗った塗膜の厚さは、電磁式の膜厚計を用いて測定することができる。
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正解 ②コンクリート面の素地の含水率は、20%以下であることを事前に確認する。
解説
コンクリートやモルタルの面に塗装を行うとき、素地に水分が多く残っていると、塗膜が乾いて閉じたあとに内部の水分が蒸気となって逃げ場を失い、ふくれや剥がれを引き起こします。またアルカリ性の強い水分が塗膜を内側から侵し、変色や劣化を招くこともあります。そのため塗装に取りかかる前には、素地が十分に乾いていることを高周波水分計などで確かめることとされており、その目安は含水率がおおむね8%以下です。20%という値は、乾燥がほとんど進んでいない状態を許すことになり、ふくれや剥がれをほぼ確実に招きます。乾燥の期間についても、コンクリート打込みから夏期で3週間以上、冬期で4週間以上を置くことが標準とされており、含水率の確認とあわせて判断します。

他の選択肢が不適切な理由
「コンクリート面のアルカリ度は、水素イオン指数が9以下であることを確認する。」は正しく、打込み直後のコンクリートは強いアルカリ性を示し、そのまま塗装すると塗膜がけん化して劣化するため、中性化が進んで9以下になったことを確かめるからです。「塗膜の厚さは、使用した塗料の量と塗った面積から塗付け量として確認する。」も正しく、塗膜は薄く、乾燥後の直接の測定が難しいため、単位面積当たりに何グラム使ったかで管理するのが一般的だからです。「鉄鋼面に塗った塗膜の厚さは、電磁式の膜厚計を用いて測定することができる。」も正しく、素地が磁性を持つ鋼であれば、磁力の変化から塗膜の厚さを非破壊で読み取れるからです。

試験の罠
素地の含水率は8%以下、水素イオン指数は9以下という二つの数値を組で覚えてください。電磁式の膜厚計は素地が鋼であることが前提であり、コンクリート面やモルタル面には使えない点も、そのまま出題されやすい論点です。
問35-10

シーリング工事の試験および検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①施工に先立ち、目地の幅と深さが所定の寸法であるかどうかを確認しておく。
  • ②接着性の確認は、施工に先立って簡易的な引張りによる試験によって行われる。
  • ③接着性の試験は、実際の被着体を用いず、標準の試験片によって行えばよい。
  • ④充填の後は、表面の状態と目地からのはみ出しの有無を目視により確認する。
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正解 ③接着性の試験は、実際の被着体を用いず、標準の試験片によって行えばよい。
解説
シーリング材が漏水を防ぐ働きを果たすには、目地の両側の材料にしっかり付いていなければなりません。ところが、この付き方はシーリング材だけで決まるのではなく、相手側の材料の種類、表面の仕上げ、下地に施された処理、そして用いるプライマーとの組合せによって大きく変わります。同じシーリング材でも、アルミニウムにはよく付いても、特定の塗装が施された金属や、表面処理をした石材には十分に付かないということが起こりえます。したがって接着性の試験は、その工事で実際に用いる被着体を切り出したもの、あるいは同じ材料と同じ表面の状態を再現した試験体を使って行わなければ意味がありません。標準の試験片で済ませてしまうと、実際の組合せで生じる不具合を事前に見つけることができず、竣工後の漏水につながります。

他の選択肢が不適切な理由
「施工に先立ち、目地の幅と深さが所定の寸法であるかどうかを確認しておく。」は正しく、目地の断面の寸法はシーリング材が変形に追従できる能力を左右し、深すぎても浅すぎても切れやすくなるため、充填の前に確かめる必要があるからです。「接着性の確認は、施工に先立って簡易的な引張りによる試験によって行われる。」も正しく、充填した材料の端を引っ張って、界面ではがれるのか材料自体がちぎれるのかを見ることで、接着の良否を判断できるからです。「充填の後は、表面の状態と目地からのはみ出しの有無を目視により確認する。」も正しく、表面のしわや泡、充填の不足は防水の性能に直接影響するため、仕上げの直後に確かめるからです。

試験の罠
接着性の試験は、実際に使う被着体とプライマーの組合せで行うのが要点です。標準の試験片、代用の材料、同種であればよいといった表現が付いていれば誤りとみてよいでしょう。界面ではがれる破壊は不合格、材料自体がちぎれる破壊は合格という判定の考え方も押さえてください。
問45-10

防水工事の試験および検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①下地の乾燥の状態は、高周波の水分計を用いて含水率を測ることで確かめる。
  • ②加硫ゴム系シート防水の接合部は、引きはがしによって接着の状態を確かめる。
  • ③屋根防水を施した後は、排水口をふさいで水を溜め、漏水の有無を確かめる。
  • ④塗膜防水の膜厚は、施工した後にすべての箇所を切り取って実測し確かめる。
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正解 ④塗膜防水の膜厚は、施工した後にすべての箇所を切り取って実測し確かめる。
解説
塗膜防水は、液状の材料を塗り重ねて連続した膜をつくる工法であり、防水の性能は膜の厚さによって決まります。ところが、できあがった膜を切り取って厚さを測るという行為は、その場所の防水層を壊してしまうことにほかなりません。すべての箇所でこれを行えば、防水層は穴だらけになり、防水として成り立たなくなります。そのため膜厚の管理は、単位面積当たりに何kgの材料を使うかという使用量をあらかじめ定め、実際に使った量と塗った面積から所定の量が確保されているかを確かめる方法によって行います。あわせて、塗り重ねの回数と各回の塗布量を記録し、立上りや入隅など厚さが不足しやすい箇所については重ね塗りを行います。確認のために膜を切り取る場合があるとしても、それは限られた箇所にとどめ、必ず補修します。

他の選択肢が不適切な理由
「下地の乾燥の状態は、高周波の水分計を用いて含水率を測ることで確かめる。」は正しく、下地に水分が残ったまま防水層を密着させると、後から水蒸気となってふくれを生じさせるため、着工前に乾燥を確かめる必要があるからです。「加硫ゴム系シート防水の接合部は、引きはがしによって接着の状態を確かめる。」も正しく、シート防水の弱点は必ず接合部であり、端部を引っ張って接着が十分かを確かめる手順が定められているからです。「屋根防水を施した後は、排水口をふさいで水を溜め、漏水の有無を確かめる。」も正しく、実際に水を張って一定の時間置く試験は、漏水の有無を最も確実に判定できる方法だからです。

試験の罠
塗膜防水の厚さは、材料の使用量で管理するのが原則です。膜厚を実測する、全数を切り取るといった表現が付いていれば誤りとみてよいでしょう。溜水による試験は、屋根の防水層に想定以上の水圧と重量を加えないよう、水の深さと時間を定めて行う点も押さえておきましょう。
問55-10

セメントモルタル塗りの品質の管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①1回の塗り厚は、床を除いて10mm以下となるように管理する。
  • ②壁の総塗り厚は、25mm以下となるようにして塗り重ねていく。
  • ③下塗りの後は、ひび割れを十分に発生させるため2週間以上放置しておく。
  • ④コンクリート下地には、吸水を調整する材料を塗ってから下塗りを行う。
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正解 ①1回の塗り厚は、床を除いて10mm以下となるように管理する。
解説
セメントモルタルを一度に厚く塗ると、内部と表面で乾燥する速さが大きく違ってしまい、表面だけが先に縮んでひび割れが入ります。また自重で垂れ下がり、下地との間にすき間が生じて浮きの原因にもなります。このため1回に塗る厚さは、床を除いて7mm以下とすることが標準とされています。必要な厚さを確保するには、下塗り、むら直し、中塗り、上塗りというように何回かに分けて塗り重ね、それぞれの層が十分に乾燥し縮み終わるのを待ってから次の層を重ねます。10mmとする記述は、この上限を3mm緩めるものであり、ひび割れと浮きの発生を許すことになります。床については、こてで押さえながら一度に仕上げる必要があるため、この制限の対象から外されています。

他の選択肢が不適切な理由
「壁の総塗り厚は、25mm以下となるようにして塗り重ねていく。」は正しく、塗り重ねた全体が厚くなるほど自重が増し、下地から剥落する危険が高まるため、合計の厚さにも上限が設けられているからです。「下塗りの後は、ひび割れを十分に発生させるため2週間以上放置しておく。」も正しく、乾燥収縮によるひび割れをこの段階で出しきってしまえば、上塗りをした後にひび割れが表面へ現れることを防げるからです。「コンクリート下地には、吸水を調整する材料を塗ってから下塗りを行う。」も正しく、乾いた下地が塗ったモルタルの水分を急に吸うと、硬化に必要な水が奪われて接着の力が落ちるからです。

試験の罠
1回の塗り厚は7mm以下、総塗り厚は25mm以下、下塗り後の放置は2週間以上という三つの数値が組で問われます。床が1回の塗り厚の制限から外れる点も要点です。下塗り後に放置するのは乾かすためではなく、ひび割れを先に出しきるためです。
問65-10

内装の下地および床の仕上がりの精度に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①モルタル塗り仕上げの床の下地の精度は、1mにつき10mm以下とする。
  • ②ビニル床シートを張る床の下地の精度は、1mにつき10mm以下とする。
  • ③せっこうボードを張るときは、留付けたねじの頭が表面より沈むようにする。
  • ④床下地の不陸は、レベルを用いて測定し、必要に応じて調整を行うこととする。
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正解 ②ビニル床シートを張る床の下地の精度は、1mにつき10mm以下とする。
解説
コンクリートの下地に求められる平たんさは、その上にどのような仕上げを載せるかによって三段階に定められています。公共建築工事標準仕様書では、仕上げ厚さが7mm以上の場合や下地の影響を受けにくい仕上げの場合は1mにつき10mm以下、仕上げ厚さが7mm未満の場合は3mにつき10mm以下、コンクリートが見え掛りとなる場合や仕上げ厚さが極めて薄い場合は3mにつき7mm以下とされています。ビニル床シートは厚さが数mmしかなく、下地の凹凸をそのまま表面に写し取ってしまうため、最も厳しい3mにつき7mm以下が求められます。これに1mにつき10mm以下という最も緩い値を当てはめると、光の当たり方によって波打ちが目立ち、へこんだ部分では接着剤が厚くなって硬化が遅れ、盛り上がった部分では材料が早く摩耗します。

他の選択肢が不適切な理由
「モルタル塗り仕上げの床の下地の精度は、1mにつき10mm以下とする。」は正しく、モルタル塗りは仕上げ厚さが7mm以上あり、塗り厚そのものが下地の細かな凹凸を吸収してくれるため、最も緩い区分が適用されるからです。「せっこうボードを張るときは、留付けたねじの頭が表面より沈むようにする。」も正しく、頭が出ていると上に塗るパテやクロスが盛り上がって仕上がりに響くため、わずかにめり込ませて平らにする必要があるからです。「床下地の不陸は、レベルを用いて測定し、必要に応じて調整を行うこととする。」も正しく、目視では判断できない緩やかな傾きや沈みは、測量の器械によって数値で捉えるほかないからです。

試験の罠
平たんさは、極めて薄い仕上げが3mにつき7mm以下、7mm未満の仕上げが3mにつき10mm以下、7mm以上の仕上げが1mにつき10mm以下です。同じ10mmでも、測る長さが3mか1mかで厳しさが三倍違う点が最大の落とし穴です。薄い仕上げほど厳しい、と結び付けて覚えてください。
問75-10

建具工事の性能および検査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①耐風圧性は、建具が風の圧力に対してどれだけ耐えられるかを表す性能である。
  • ②気密性は、建具の枠と戸のすき間からどれだけ空気が漏れるかを表す性能である。
  • ③水密性の試験は、建具の屋内の側から水をかけて漏れの有無を確かめる試験である。
  • ④遮音性は、建具が音をどれだけ遮ることができるかを等級によって表す性能である。
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正解 ③水密性の試験は、建具の屋内の側から水をかけて漏れの有無を確かめる試験である。
解説
建具の水密性とは、風を伴う雨にさらされたときに、屋外の雨水が室内側へ漏れ入らない能力のことです。実際に建具が受ける条件は、屋外の側から雨が吹き付け、同時に風圧によって屋外の気圧が室内より高くなるという状態です。この圧力の差こそが、わずかなすき間から水を室内側へ押し込む原動力になります。したがって試験は、屋外に相当する側から一定の量の水を散水しながら、同じ側に段階的に圧力を加え、屋内側への漏水が生じないことを確かめる方法で行われます。屋内の側から水をかけたのでは、実際とは逆向きの条件になってしまい、雨漏りが起こる仕組みそのものを再現できません。等級は、耐えられる圧力の大きさに応じて定められています。

他の選択肢が不適切な理由
「耐風圧性は、建具が風の圧力に対してどれだけ耐えられるかを表す性能である。」は正しく、台風時などに建具が変形したり破損したりしないかを表す性能であり、圧力の大きさによって等級が定められているからです。「気密性は、建具の枠と戸のすき間からどれだけ空気が漏れるかを表す性能である。」も正しく、単位の面積と圧力の差の条件のもとで通り抜ける空気の量によって等級が定められているからです。「遮音性は、建具が音をどれだけ遮ることができるかを等級によって表す性能である。」も正しく、周波数ごとの音の減り方を測って等級が定められており、道路に面した窓などで求められる性能だからです。

試験の罠
水密性の試験は屋外側から散水し加圧します。屋内側、室内側という語が付いていれば誤りです。あわせて建具の性能には耐風圧性、気密性、水密性、遮音性、断熱性、面内変形追随性などがあり、それぞれ何を測るのかを対応づけて覚えておきましょう。
問85-10

赤外線装置を用いた外壁のタイル面の調査に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①浮きのある部分は、下地との間の空気の層により表面の温度が変わる性質を使う。
  • ②足場を組まずに離れた位置から広い範囲を短い時間で調査することができる。
  • ③調査に先立ち、打診による調査の結果と照らし合わせて判定の精度を高める。
  • ④日射による温度の変化を利用するため、日射のない夜間に行うのが最も適する。
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正解 ④日射による温度の変化を利用するため、日射のない夜間に行うのが最も適する。
解説
赤外線装置による調査は、物体の表面から出ている赤外線の量を捉えて温度の分布を画像にする方法です。タイルの裏に浮きがあると、そこに空気の層ができます。空気は熱を伝えにくいため、日射で外壁が暖められると、浮きのある部分は熱が下地へ逃げずに表面にとどまり、健全な部分より温度が高くなります。逆に日が陰って冷えていく場面では、浮きのある部分のほうが早く冷えます。いずれにしても、温度の差が生じるためには外壁が熱せられたり冷やされたりする過程が必要です。日射がまったくない夜間で、外壁の温度が周囲と釣り合って落ち着いてしまった状態では、浮きのある部分と健全な部分の温度差が生じず、画像に違いが現れません。したがって、調査は日射のある時間帯や、日射の後に温度が変化していく時間帯に行うのが適しています。

他の選択肢が不適切な理由
「浮きのある部分は、下地との間の空気の層により表面の温度が変わる性質を使う。」は正しく、空気の層が熱の伝わりを妨げることが、この方法が浮きを捉えられる原理そのものだからです。「足場を組まずに離れた位置から広い範囲を短い時間で調査することができる。」も正しく、装置を離れた場所に据えて撮影するだけでよいため、打診に比べて仮設の費用と時間を大きく減らせるからです。「調査に先立ち、打診による調査の結果と照らし合わせて判定の精度を高める。」も正しく、温度差の原因は浮きのほかにも汚れや水分や日陰の影響がありうるため、打診の結果と突き合わせて判定の基準を定めるからです。

試験の罠
赤外線による調査は温度差を手がかりにするため、温度が変化している時間帯でなければ意味をなしません。雨の直後、風の強い日、日陰になっている面も精度が落ちます。打診は確実だが手間がかかり、赤外線は広い範囲を素早く見られるが条件に左右されるという長短の対比で覚えましょう。
問95-10

塗装工事の膜厚および仕上がりの管理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①エマルションペイントをコンクリート面に塗った膜厚は、電磁式の膜厚計で測る。
  • ②塗料は、製造した会社が定める希釈の割合の範囲内でうすめて使うこととする。
  • ③所定の膜厚を得るために、塗り重ねの回数と1回ごとの塗付け量を記録していく。
  • ④上塗りの色やつやは、あらかじめ作成した見本と照らし合わせて確認していく。
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正解 ①エマルションペイントをコンクリート面に塗った膜厚は、電磁式の膜厚計で測る。
解説
電磁式の膜厚計は、素地が磁性を持つ鋼であることを前提とした測定器です。測定子と鋼の素地との間に働く磁力の大きさが、その間にある塗膜の厚さによって変わることを利用して厚さを読み取ります。したがって、コンクリートやモルタルのように磁性を持たない素地の上では、そもそも磁力の変化が生じず、測定そのものが成り立ちません。合成樹脂エマルションペイントは、こうしたコンクリート面やモルタル面、せっこうボード面に用いる塗料ですから、電磁式の膜厚計では厚さを測れません。これらの面における膜厚の管理は、単位面積当たりに何kgの塗料を使うかという塗付け量をあらかじめ定め、実際の使用量と塗った面積から確かめる方法によって行います。測定器は、対象とする素地の性質に合うものを選ばなければなりません。

他の選択肢が不適切な理由
「塗料は、製造した会社が定める希釈の割合の範囲内でうすめて使うこととする。」は正しく、うすめすぎると1回で付く膜が薄くなって所定の厚さに達せず、隠ぺい力も低下してむらの原因になるからです。「所定の膜厚を得るために、塗り重ねの回数と1回ごとの塗付け量を記録していく。」も正しく、塗膜の厚さは直接測りにくいため、工程ごとの使用量の記録が厚さを保証する根拠となるからです。「上塗りの色やつやは、あらかじめ作成した見本と照らし合わせて確認していく。」も正しく、色やつやは数値で表しにくく、実物の見本との対比によって判断するのが確実だからです。

試験の罠
電磁式の膜厚計は鉄鋼面専用です。素地がコンクリート、モルタル、せっこうボード、木部と書かれていれば、この測定器は使えません。膜厚の管理は使用量による、という原則とあわせて覚えると、素地の種類で判断できるようになります。
問105-10

外壁の改修工事における調査および試験に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①既存の仕上げ材の浮きの範囲は、打診用の棒を用いた調査によって把握していく。
  • ②付着強度の試験は、既存の仕上げ材だけを切り取り、下地は切らずに実施する。
  • ③外壁のひび割れは、幅を測る器具を用いて幅と長さと位置を記録するようにする。
  • ④改修に用いる材料は、既存の下地との適合を確かめてから採用するようにする。
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正解 ②付着強度の試験は、既存の仕上げ材だけを切り取り、下地は切らずに実施する。
解説
付着強度の試験は、仕上げ材の表面に鋼製の治具を接着し、垂直に引っ張って剥がれるときの力を測る試験です。このとき、あらかじめ試験をする範囲の縁を、下地に達するまで切り込んでおかなければなりません。切り込みが浅く、仕上げ材の途中で止まっていると、引っ張ったときに周囲の仕上げ材が一緒に引きずられ、測っている面積が定まらず、周囲の抵抗も加わって実際より大きな値が出てしまいます。つまり、切込みは測定する面積を確定させるための欠かせない手順です。下地に達するまで切り込むことで、初めて治具の面積で力を割った値が正しい付着強度になります。さらに、破壊がどこで起きたのかを観察することも重要で、下地とのあいだで剥がれたのか、仕上げ材そのものがちぎれたのかによって、劣化の原因の判断が変わります。

他の選択肢が不適切な理由
「既存の仕上げ材の浮きの範囲は、打診用の棒を用いた調査によって把握していく。」は正しく、音の違いから浮きの有無と広がりを面的に把握でき、改修の範囲と工法を決める基礎の資料になるからです。「外壁のひび割れは、幅を測る器具を用いて幅と長さと位置を記録するようにする。」も正しく、ひび割れの幅によって注入する材料や工法が変わるため、数値として記録する必要があるからです。「改修に用いる材料は、既存の下地との適合を確かめてから採用するようにする。」も正しく、既存の仕上げ材の種類や劣化の程度によっては新しい材料が付かないことがあり、事前の確認を欠くと早期の剥離を招くからです。

試験の罠
付着強度の試験では、下地に達するまで切り込むことが要点です。切り込まない、仕上げ材のみを切ると書いてあれば誤りです。判定は強度の値だけでなく、どこで破壊したかという破壊の状況もあわせて評価する点も押さえておきましょう。

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