2026年版・4-6

左官工事の一問一答

1級建築施工管理技士「仕上施工」から、左官工事に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問14-6

コンクリート壁面へのセメントモルタル塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①1回の塗り厚は、床を除いて7mm以下とした。
  • ②総塗り厚は、床を除いて25mm以下とした。
  • ③下塗り面は、金ごてで押さえて平滑に仕上げた。
  • ④下塗り用モルタルは、上塗り用より富調合とした。
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正解 ③下塗り面は、金ごてで押さえて平滑に仕上げた。
解説
セメントモルタル塗りの下塗りは、下地とモルタルを一体化させるための層であり、その上に塗り重ねる中塗り・上塗りが剥がれないように、表面をわざと粗くしておく必要があります。金ごてで押さえて平滑に仕上げてしまうと、あとから塗るモルタルがひっかかる凹凸がなくなり、境目で滑って剥離やふくれの原因になります。このため下塗り面は押さえ過ぎず、くし目ごてなどで全面に目荒し(表面に細かい溝を付けること)を行うのが標準です。あわせて下塗り後は2週間以上放置し、乾燥収縮によるひび割れをあらかじめ出し切ってから次の工程に進みます。先にひび割れを発生させておくことで、仕上げ後になって表面までひび割れが抜けてくるのを防ぐという考え方です。

他の選択肢が不適切な理由
「1回の塗り厚は、床を除いて7mm以下とした。」は正しく、一度に厚く塗るとモルタル自体の重さで垂れ下がり、内部まで乾きにくくなって収縮ひび割れや剥離を招くため、壁や天井では1回の塗り厚を7mm以下とするのが標準だからです。「総塗り厚は、床を除いて25mm以下とした。」も正しく、塗り厚が増すほど自重が大きくなって下地から剥がれやすくなるため、壁の合計厚さの上限を25mmとしているからです。「下塗り用モルタルは、上塗り用より富調合とした。」も正しく、富調合とはセメントの割合が多い調合のことで、接着力が高まり下地への付着を確保できる一方、上塗りは乾燥収縮によるひび割れを抑えるためにセメントを減らした貧調合とするのが原則だからです。

試験の罠
1回7mm以下・総厚25mm以下はいずれも壁の値で、床は別扱いである点が狙われます。また、下塗りが富調合で上塗りに向かうほど貧調合という方向を逆に書いた選択肢も頻出です。下地に近いほど強く、表面に近いほど動きに追従させると覚えます。
問24-6

左官用材料の硬化の性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①しっくいは、空気中の二酸化炭素と反応して硬化する。
  • ②セメントモルタルは、空気に触れて硬化する気硬性である。
  • ③せっこうプラスターは、水と反応して硬化する水硬性である。
  • ④ドロマイトプラスターは、のりを必要としない気硬性である。
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正解 ②セメントモルタルは、空気に触れて硬化する気硬性である。
解説
左官材料は、硬まる仕組みによって水硬性と気硬性に分かれます。水硬性とは水と化学反応(水和反応)して硬まる性質のことで、水中でも硬化します。気硬性とは空気中の二酸化炭素や乾燥によって硬まる性質で、水に浸けたままでは硬化しません。セメントモルタルはセメントが水と反応してけい酸カルシウム水和物をつくることで強度を発現する、代表的な水硬性材料です。だからこそ打設後に散水などの湿潤養生を行い、水分が早く飛ばないようにします。もし気硬性であれば乾かすほど良いことになり、実際の養生方法と矛盾します。空気に触れて硬化するという記述は、しっくいなど気硬性材料の説明であり、セメントモルタルには当てはまりません。

他の選択肢が不適切な理由
「しっくいは、空気中の二酸化炭素と反応して硬化する。」は正しく、しっくいの主材料である消石灰(水酸化カルシウム)が空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムに戻ることで硬化する、典型的な気硬性材料だからです。「せっこうプラスターは、水と反応して硬化する水硬性である。」も正しく、焼せっこうが水と結び付いて二水せっこうの結晶に戻ることで硬化し、しかも硬化が速く収縮が小さいという特徴を持つからです。「ドロマイトプラスターは、のりを必要としない気硬性である。」も正しく、ドロマイトプラスター自体に粘りがあるため、しっくいのようにのりを混ぜなくても塗り作業ができる一方、乾燥収縮が大きいのですさを混ぜてひび割れを抑えるからです。

試験の罠
水硬性はセメント系とせっこう系、気硬性はしっくいとドロマイトプラスター、と二つに仕分けて覚えます。せっこう系だけは硬化が速く収縮がほとんどないため、下地の動きに追従させたい部位には向かない点もあわせて問われます。
問34-6

モルタル塗りの下地処理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①吸水調整材は、下地に厚く塗り重ねて膜を厚くした。
  • ②吸水調整材の塗布後、1時間以上おいてから下塗りした。
  • ③コンクリート下地の目違いは、下塗り前に削り取った。
  • ④型枠の剥離剤が残る部分は、水洗いをして除去した。
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正解 ①吸水調整材は、下地に厚く塗り重ねて膜を厚くした。
解説
吸水調整材は、コンクリートなどの下地がモルタルの水分を急に吸い取ってしまうのを抑えるために、下塗りの前に薄く塗る材料です。下地が水分を奪うと、モルタルは十分な水がないまま硬まろうとするため、強度が出ずに粉っぽくなったり、下地との境目が弱くなって剥離したりします。ただし、この材料はあくまで吸水の程度をやわらげるためのもので、厚く塗り重ねて膜を厚くすると、その膜自体が下地とモルタルの間に挟まった弱い層となり、かえって付着力を落としてしまいます。したがって、規定の希釈で全面に薄く均一に塗るのが正しい使い方です。塗り重ねが必要な下地であっても、厚膜にせず、乾燥時間を確保して次の工程に進みます。

他の選択肢が不適切な理由
「吸水調整材の塗布後、1時間以上おいてから下塗りした。」は正しく、吸水調整材が乾いて所定の膜になる前にモルタルを塗ると、膜が濡れたまま滑って付着が確保できないため、乾燥時間として1時間以上をとるのが標準だからです。「コンクリート下地の目違いは、下塗り前に削り取った。」も正しく、型枠の継目でできた段差をそのままにすると、その部分だけ塗り厚が薄くなって割れやすくなり、逆に厚くなる部分では垂れが生じるため、あらかじめ平らにしておく必要があるからです。「型枠の剥離剤が残る部分は、水洗いをして除去した。」も正しく、剥離剤は型枠を離れやすくするための油分であり、残っているとモルタルをはじいて付着不良を起こすため、確実に取り除く必要があるからです。

試験の罠
吸水調整材は「薄く塗る」「乾かしてから塗る」の二点が要点です。厚く塗るほど効果が上がりそうに見えますが逆であること、また下地の水湿しと吸水調整材の塗布は目的が似ていても併用の考え方が異なることが狙われます。
問44-6

セルフレベリング材塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①流し込み中と硬化するまでの間は、窓や開口部をふさいだ。
  • ②下地には、シーラーを塗布して吸水を防止した。
  • ③硬化を早めるため、流し込み中は窓を開けて送風した。
  • ④硬化後の突起やバリは、サンダーで削り取って平滑にした。
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正解 ③硬化を早めるため、流し込み中は窓を開けて送風した。
解説
セルフレベリング材は、自らの流動性で水平になろうとする性質を利用して床を平滑にする材料です。この材料でもっとも嫌うのが、流し込んでから硬化するまでの間に風が当たることです。風が当たると表面だけが先に乾いて皮のような膜ができ、内部はまだ流動している状態のまま固まるため、表面にしわが寄ったり、部分的に盛り上がったりして平滑さが失われます。硬化後に反りやひび割れが出ることもあります。そのため、施工中から硬化するまでは窓や開口部をふさぎ、通風を避けるのが標準です。硬化を早めたいという理由で送風することは、この原則に真っ向から反する行為であり、仕上がりを損ないます。

他の選択肢が不適切な理由
「流し込み中と硬化するまでの間は、窓や開口部をふさいだ。」は正しく、風による表面の急激な乾燥を防いで平滑な仕上がりを確保するための、この工事の基本的な養生方法だからです。「下地には、シーラーを塗布して吸水を防止した。」も正しく、下地のコンクリートが材料の水分を吸い取ってしまうと流動性が急に落ちて平らに広がらなくなり、また硬化不良も起こすため、あらかじめ吸水を抑えておく必要があるからです。「硬化後の突起やバリは、サンダーで削り取って平滑にした。」も正しく、打継ぎ部や気泡の跡に生じた小さな出っ張りは、そのまま仕上材を張ると膨れや目違いの原因になるため、硬化後に削って平らにするのが正しい処理だからです。

試験の罠
「通風を避ける」のはセルフレベリング材とせっこうプラスターの施工中で、逆に「通風して乾燥させる」のはせっこうプラスターの硬化後です。同じ材料でも硬化前と硬化後で扱いが逆になる点が狙われます。養生期間は7日以上、低温期は14日以上が目安です。
問54-6

せっこうプラスター塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①加水後2時間を過ぎた材料は、練り直して使用した。
  • ②下塗りは、下地の吸水の程度に応じて水湿しを行った。
  • ③上塗りは、中塗りが半乾燥の状態のうちに行った。
  • ④硬化した後は、適度に通風して十分に乾燥させた。
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正解 ①加水後2時間を過ぎた材料は、練り直して使用した。
解説
せっこうプラスターは、焼せっこうが水と反応して結晶に戻ることで硬化する水硬性の材料で、硬化が速いという特徴があります。水を加えた時点から反応が始まり、時間が経つと結晶が育ち始めるため、いったん固まりかけたものを練り直しても、すでにできた結晶がこわれるだけで元の強度は戻りません。これを使うと、見た目は塗れても強度が著しく低く、剥離や粉化の原因になります。このため既調合せっこうプラスターは、加水後2時間を過ぎたものは使用しないと定められており、練り直しての再利用も認められません。硬化が速いという長所は、裏を返せば可使時間が短いという制約になるということです。

他の選択肢が不適切な理由
「下塗りは、下地の吸水の程度に応じて水湿しを行った。」は正しく、下地が乾き過ぎているとプラスターの水分を吸い取って硬化に必要な水が不足し、付着不良や粉化を起こすため、吸水の程度を見て水湿しで調整する必要があるからです。「上塗りは、中塗りが半乾燥の状態のうちに行った。」も正しく、中塗りが完全に乾いてから上塗りをすると層どうしがなじまず、逆に濡れ過ぎていると上塗りがだれるため、表面が乾き始めた半乾燥のころ合いで塗り重ねるのが標準だからです。「硬化した後は、適度に通風して十分に乾燥させた。」も正しく、せっこうプラスターは施工中こそ急激な乾燥を避けますが、硬化した後は余分な水分を早く抜かないとかびや強度低下の原因になるため、通風して乾燥させるのが正しい養生だからです。

試験の罠
硬化前は通風を避け、硬化後は通風して乾燥させる、という前後で逆になる扱いが最頻出です。あわせて、加水後2時間という数値と、練り直しての再利用が認められないという点を組み合わせた選択肢がよく出ます。
問64-6

床コンクリートの直均し仕上げに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①コンクリートを打ち込んだ直後に、金ごてで強く押さえた。
  • ②定木ずりの後、木ごてを用いて表面を平らにならした。
  • ③中むらを取るため、水引きの状況を見て金ごて押えを繰り返した。
  • ④仕上げの後は、シートで覆って湿潤状態を保つ養生を行った。
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正解 ①コンクリートを打ち込んだ直後に、金ごてで強く押さえた。
解説
床コンクリートの直均し仕上げは、コンクリートの表面をそのまま仕上げ面にする工法で、押さえるタイミングがすべてを決めます。打ち込んだ直後のコンクリートは、まだ内部の余分な水分が表面へ上がってくる途中の状態です。この時期に金ごてで強く押さえると、上がってきた水分を表面近くに閉じ込めてしまい、水の多い弱い層をつくることになります。その結果、硬化後に表面が粉を吹いたり、薄く剥がれたりする不具合が生じます。正しくは、定木ずりで高さを決めたあと木ごてで粗ならしを行い、コンクリートから水が引いていく具合を確かめながら、時間をおいて金ごて押えを二回から三回繰り返し、最後にきめ細かな面に仕上げます。

他の選択肢が不適切な理由
「定木ずりの後、木ごてを用いて表面を平らにならした。」は正しく、まず定木で所定の高さと勾配を出し、続いて木ごてで骨材を沈めながら大まかに平らにするのが正規の手順だからです。「中むらを取るため、水引きの状況を見て金ごて押えを繰り返した。」も正しく、一度の押えでは表面の緻密さが不足するため、コンクリートの硬化の進み具合を見ながら複数回押さえて表面を締めていくのが標準の方法だからです。「仕上げの後は、シートで覆って湿潤状態を保つ養生を行った。」も正しく、直均し面は乾燥ひび割れが表面に直接あらわれてしまうため、仕上げ後は速やかに水分の逸散を防ぎ、コンクリートの水和反応を進めさせる必要があるからです。

試験の罠
「打込み直後に金ごて」は不適当、「水引き具合を見ながら複数回」が正しい、という時間の考え方が要点です。木ごては粗ならし、金ごては仕上げ、という道具の役割分担も合わせて問われます。
問74-6

内壁のセメントモルタル塗りの調合(容積比)に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①下塗りは、セメント1に対して砂を2.5とした。
  • ②中塗りは、セメント1に対して砂を3とした。
  • ③上塗りは、セメント1に対して砂を3とした。
  • ④床仕上げは、セメント1に対して砂を3とした。
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正解 ④床仕上げは、セメント1に対して砂を3とした。
解説
モルタルの調合は、セメントに対する砂の量を容積の比で表します。砂の量が少ないほどセメントの割合が高くなり、接着力と強度が上がる一方、乾燥収縮が大きくなってひび割れやすくなります。逆に砂が多いほど収縮は小さくなりますが、強度と付着力は下がります。床の仕上げモルタルは、人が歩き、家具を引きずり、台車が通る面であり、摩耗に耐える強さが必要なため、壁の上塗りよりも砂を少なくした富調合とし、セメント1に対して砂2を標準とします。砂を3にすると、壁の上塗りと同じ調合まで薄めることになり、表面がもろくなって早期に摩耗し、砂が浮き出す不具合を招きます。

他の選択肢が不適切な理由
「下塗りは、セメント1に対して砂を2.5とした。」は正しく、下塗りは下地に確実に食い付かせる層であり、接着力を優先して富調合とするのが標準だからです。「中塗りは、セメント1に対して砂を3とした。」も正しく、中塗りは塗り厚を確保して面を整える層であり、下塗りより砂を増やして収縮を抑え、ひび割れが表面へ抜けるのを防ぐ調合とするからです。「上塗りは、セメント1に対して砂を3とした。」も正しく、上塗りは仕上げ面として最もひび割れが目立つ層であるため、中塗りと同じ程度まで砂を増やして収縮を小さくするのが標準だからです。

試験の罠
壁は下塗り1対2.5、中塗り・上塗り1対3と、下地側ほど富調合になるのが原則です。ところが床だけは例外で、下塗りが1対2.5、仕上げがさらに富調合の1対2となります。摩耗に耐えるためという理由とセットで覚えると取り違えません。
問84-6

各種下地へのモルタル塗りに関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①コンクリートブロック下地は、水湿しをしてから塗り付けた。
  • ②ALCパネル下地には、下地調整塗材を塗り付けてから塗った。
  • ③コンクリート下地の下塗りには、木ごてを用いて塗り付けた。
  • ④ラス下地は、目つぶしをせずに一度に所定の厚さまで塗った。
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正解 ④ラス下地は、目つぶしをせずに一度に所定の厚さまで塗った。
解説
ラスとは、金網状の左官下地のことで、そのままでは網の目に空隙が残ります。この網目にモルタルが十分に入り込んでいないと、モルタルはラスに引っかかっているだけの状態になり、地震や温度変化による動きで簡単に浮きや剥落を起こします。そのためラス下地では、まず網目にモルタルをしっかり押し込む「目つぶし」を行い、ラスを完全にモルタルで包み込んでから、改めて所定の厚さまで塗り重ねるのが正しい手順です。一度に所定の厚さまで塗ってしまうと、網目の奥に空気が残ったまま表面だけが厚くなり、付着面積が確保できません。さらに厚塗りによる自重で垂れも生じ、仕上がりと耐久性の両方を損ないます。

他の選択肢が不適切な理由
「コンクリートブロック下地は、水湿しをしてから塗り付けた。」は正しく、ブロックは吸水性が高く、乾いたままではモルタルの水分を急に吸い取って硬化不良と付着不良を起こすため、あらかじめ湿らせて吸水の程度を落ち着かせる必要があるからです。「ALCパネル下地には、下地調整塗材を塗り付けてから塗った。」も正しく、ALCは軽量で気泡が多く吸水性が極めて高いため、そのままモルタルを塗ると水分を吸われてしまい、下地調整塗材で吸水を抑えて付着性を確保する必要があるからです。「コンクリート下地の下塗りには、木ごてを用いて塗り付けた。」も正しく、下塗りは平滑さより下地への圧着と粗い面の確保が目的であり、金ごてで押さえて平らにしてしまうと上塗りの付着が悪くなるからです。

試験の罠
吸水の大きい下地は水湿しか下地調整、吸水しない下地は目荒しか吸水調整材、と目的の違いで整理します。ラス下地の目つぶしは、網の中に材料を入れる作業であって厚さを稼ぐ作業ではないという点が狙われます。
問94-6

モルタル塗りのひび割れ防止に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①下塗り後、2週間以上放置してひび割れを発生させた。
  • ②1回の塗り厚を薄くし、塗り重ねて所定の厚さを確保した。
  • ③収縮を抑えるため、上塗りの調合をとくに富調合とした。
  • ④こて押えを行い、塗り面を締めて緻密な表面に仕上げた。
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正解 ③収縮を抑えるため、上塗りの調合をとくに富調合とした。
解説
モルタルのひび割れの主な原因は、セメントが硬化する過程で生じる乾燥収縮です。この収縮の大きさは、モルタルに含まれるセメントペーストの量に比例します。したがって、セメントの割合を増やした富調合にすると、接着力や強度は上がるものの、収縮量も増えてひび割れは起こりやすくなります。つまり、収縮を抑える目的で富調合にするというのは、原因と対策が逆になっています。上塗りは仕上げ面としてひび割れが直接目に見える層であるため、砂を多めにした貧調合にして収縮を小さく抑えるのが正しい考え方です。強さが必要な下塗りは富調合、動きへの追従とひび割れ防止が必要な上塗りは貧調合、と役割で使い分けます。

他の選択肢が不適切な理由
「下塗り後、2週間以上放置してひび割れを発生させた。」は正しく、収縮によるひび割れをあえて下塗りの段階で先に出し切っておけば、その上に塗る中塗り・上塗りに割れが抜けてこなくなるため、標準的な手順として定められているからです。「1回の塗り厚を薄くし、塗り重ねて所定の厚さを確保した。」も正しく、厚塗りは内部まで乾きにくく収縮が不均一になってひび割れや剥離を招くため、薄く塗って重ねるほうが健全な層をつくれるからです。「こて押えを行い、塗り面を締めて緻密な表面に仕上げた。」も正しく、こてで押さえると表面の組織が密になって水分の急激な逸散が抑えられ、表面のひび割れが生じにくくなるからです。

試験の罠
富調合は「強いがひび割れやすい」、貧調合は「弱いがひび割れにくい」という表裏の関係を押さえます。ひび割れ対策として富調合と書いてある選択肢は、ほぼ誤りと考えてよい典型パターンです。
問104-6

左官工事の施工環境と養生に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①気温が2℃を下回るおそれがあるため、採暖して施工した。
  • ②直射日光が当たる面は、シートで覆って急激な乾燥を防いだ。
  • ③モルタル塗りの後は、直ちに強い通風を与えて乾燥を促した。
  • ④せっこうプラスターの施工中は、できるだけ通風を避けた。
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正解 ③モルタル塗りの後は、直ちに強い通風を与えて乾燥を促した。
解説
セメントモルタルは、セメントが水と反応することで強度を発現する水硬性の材料です。この反応には水が必要であり、必要な水が反応前に蒸発してしまうと、強度が出ないまま表面だけが乾いた状態になります。塗り付けた直後に強い通風を与えると、表面の水分だけが急速に失われて内部との乾燥差が大きくなり、表面に細かなひび割れが密に発生します。また表面が粉っぽくなり、仕上材の付着不良にもつながります。したがって、モルタル塗りの後は急激な乾燥を避け、必要に応じて散水やシート養生で湿潤状態を保つのが正しい養生です。通風は、モルタルがある程度強度を発現したあとで、緩やかに与えます。

他の選択肢が不適切な理由
「気温が2℃を下回るおそれがあるため、採暖して施工した。」は正しく、低温ではセメントの水和反応がほとんど進まず、さらに凍結すると内部の水が膨張して組織を壊してしまうため、採暖や保温によって所定の温度を確保する必要があるからです。「直射日光が当たる面は、シートで覆って急激な乾燥を防いだ。」も正しく、日射を受けた面は表面温度が上がって水分が急に失われ、ひび割れや強度不足を招くため、覆いによって乾燥を緩やかにする必要があるからです。「せっこうプラスターの施工中は、できるだけ通風を避けた。」も正しく、せっこう系の材料も硬化に水を必要とし、施工中に風が当たると表面だけが先に乾いて硬化不良やしわを生じるため、硬化するまでは通風を避けるのが標準だからです。

試験の罠
「乾かすほど良い」という直感は左官では通用しません。硬化中は湿潤を保ち、硬化後に乾燥させる、という順序が共通の原則です。低温時の目安である2℃という数値と、凍結を避けるという理由もあわせて問われます。

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