鋼材の力学的性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。
- ①鋼材のヤング係数は、材質の強度が高いものほど大きな値となる性質をもつ。
- ②降伏比は降伏点を引張強さで除した値で、小さいものほど塑性変形能力が高い。
- ③常温での線膨張係数は、コンクリートのそれとほぼ等しい値となっている。
- ④引張試験で得られる伸びは、鋼材の粘り強さを表す指標のひとつである。
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ヤング係数とは、材料を引っ張ったときの応力度とひずみ度の比、つまり材料の硬さの度合いを表す値です。鋼材のヤング係数は強度の高低にかかわらずほぼ一定で、およそ205000N/mm2です。これは鉄の原子どうしを結びつける力そのもので決まる値であり、炭素や合金元素を加えて強度を高めても、この結合力自体は大きく変わらないためです。したがって強度が高いほど大きくなるという記述は誤りです。実務上は、高強度鋼を使っても部材のたわみは小さくならないことを意味します。強度を上げれば断面を小さくできますが、断面が小さくなる分だけたわみはかえって大きくなるため、高強度鋼を採用する際は変形の検討が欠かせません。
他の選択肢が不適切な理由
「降伏比は降伏点を引張強さで除した値で、小さいものほど塑性変形能力が高い。」は正しく、降伏してから壊れるまでの余裕が大きいことを意味します。「常温での線膨張係数は、コンクリートのそれとほぼ等しい値となっている。」も正しく、両者ともおよそ1×10のマイナス5乗毎℃です。「引張試験で得られる伸びは、鋼材の粘り強さを表す指標のひとつである。」も正しく、伸びが大きい鋼材ほど地震時に変形して力を吸収できます。
試験の罠
「強度が高いほどヤング係数も大きい」は最も繰り返される誤りの型です。鋼材で強度によって変わるのは降伏点と引張強さであり、ヤング係数と線膨張係数と比重は変わらないと整理します。コンクリートのヤング係数は逆に強度が高いほど大きくなるので、両者を混同しないよう注意します。