2026年版・1-14

建築材料:鋼材と金属材料の一問一答

1級建築施工管理技士「建築学」から、建築材料:鋼材と金属材料に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-14

鋼材の力学的性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①鋼材のヤング係数は、材質の強度が高いものほど大きな値となる性質をもつ。
  • ②降伏比は降伏点を引張強さで除した値で、小さいものほど塑性変形能力が高い。
  • ③常温での線膨張係数は、コンクリートのそれとほぼ等しい値となっている。
  • ④引張試験で得られる伸びは、鋼材の粘り強さを表す指標のひとつである。
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正解 ①鋼材のヤング係数は、材質の強度が高いものほど大きな値となる性質をもつ。
解説
ヤング係数とは、材料を引っ張ったときの応力度とひずみ度の比、つまり材料の硬さの度合いを表す値です。鋼材のヤング係数は強度の高低にかかわらずほぼ一定で、およそ205000N/mm2です。これは鉄の原子どうしを結びつける力そのもので決まる値であり、炭素や合金元素を加えて強度を高めても、この結合力自体は大きく変わらないためです。したがって強度が高いほど大きくなるという記述は誤りです。実務上は、高強度鋼を使っても部材のたわみは小さくならないことを意味します。強度を上げれば断面を小さくできますが、断面が小さくなる分だけたわみはかえって大きくなるため、高強度鋼を採用する際は変形の検討が欠かせません。

他の選択肢が不適切な理由
「降伏比は降伏点を引張強さで除した値で、小さいものほど塑性変形能力が高い。」は正しく、降伏してから壊れるまでの余裕が大きいことを意味します。「常温での線膨張係数は、コンクリートのそれとほぼ等しい値となっている。」も正しく、両者ともおよそ1×10のマイナス5乗毎℃です。「引張試験で得られる伸びは、鋼材の粘り強さを表す指標のひとつである。」も正しく、伸びが大きい鋼材ほど地震時に変形して力を吸収できます。

試験の罠
「強度が高いほどヤング係数も大きい」は最も繰り返される誤りの型です。鋼材で強度によって変わるのは降伏点と引張強さであり、ヤング係数と線膨張係数と比重は変わらないと整理します。コンクリートのヤング係数は逆に強度が高いほど大きくなるので、両者を混同しないよう注意します。
問21-14

鋼材に含まれる炭素の量が及ぼす影響に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①炭素量が増えると、鋼材の引張強さおよび硬さはおおむね増大していく。
  • ②炭素量が増えると、溶接部の割れが生じやすくなり溶接性は低下する。
  • ③炭素量が増えると、鋼材の伸びが大きくなり靭性も高まる傾向にある。
  • ④炭素量が同じでも、他の合金元素の量により溶接性は変わってくる。
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正解 ③炭素量が増えると、鋼材の伸びが大きくなり靭性も高まる傾向にある。
解説
鋼は鉄に炭素を溶け込ませた合金で、炭素の量が増えるほど内部の組織が硬く強くなります。しかしその代わりに、力を受けたときに伸びて力を逃がす性質、すなわち粘り強さである靭性と伸びは低下します。硬くて強いが脆いという方向に性質が変わるため、記述にある「伸びが大きくなり靭性も高まる」は逆であり誤りです。建築の構造部材では、地震のときに部材が伸びて変形しながらエネルギーを吸収することが求められるため、単に強いだけの鋼材は適しません。そのため建築構造用の鋼材は炭素量を低めに抑え、強度は他の合金元素や熱処理で確保する方向で設計されています。溶接部が急冷されて硬く脆くなる現象も炭素量が多いほど起こりやすくなります。

他の選択肢が不適切な理由
「炭素量が増えると、鋼材の引張強さおよび硬さはおおむね増大していく。」は正しく、これが炭素を加える目的そのものです。「炭素量が増えると、溶接部の割れが生じやすくなり溶接性は低下する。」も正しく、溶接の熱で急冷された部分が硬化してひび割れます。「炭素量が同じでも、他の合金元素の量により溶接性は変わってくる。」も正しく、マンガンやケイ素などの影響をまとめて表す炭素当量という指標が用いられます。

試験の罠
炭素量が増えると上がるものは引張強さ、降伏点、硬さ、下がるものは伸び、靭性、溶接性と二つの組に分けて覚えます。溶接性は炭素量単独ではなく炭素当量で判断する点も頻出で、炭素当量が小さいほど溶接しやすい鋼材です。
問31-14

建築構造用鋼材の規格に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①SN400B種は、溶接性と塑性変形能力を確保するため化学成分の上下限が定められている。
  • ②SN400C種は、板厚方向に引張力を受ける部材に用いるため絞り値が規定されている。
  • ③SMA材は銅やクロムなどを添加した鋼材で、表面に緻密なさび層を形成し腐食を抑える。
  • ④TMCP鋼は熱加工制御により製造した鋼材で、炭素当量が高く溶接時に予熱を多く要する。
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正解 ④TMCP鋼は熱加工制御により製造した鋼材で、炭素当量が高く溶接時に予熱を多く要する。
解説
TMCP鋼は、圧延の温度と冷却の速度を精密に制御して製造する鋼材です。組織を細かくすることで強度を得るため、炭素や合金元素を多く加える必要がなく、炭素当量をむしろ低く抑えられます。炭素当量が低いということは溶接したときに硬く脆い組織ができにくいということで、予熱をあまり必要とせず溶接しやすいのがこの鋼材の最大の利点です。したがって炭素当量が高く予熱を多く要するという記述は正反対で誤りです。また通常の鋼材は板厚が40mmを超えると設計に用いる基準強度を下げる必要がありますが、TMCP鋼は厚板でも強度が落ちないため、高層建築の柱のような厚い部材に使われます。

他の選択肢が不適切な理由
「SN400B種は、溶接性と塑性変形能力を確保するため化学成分の上下限が定められている。」は正しく、降伏点の上限も定めて想定外の強さになることを防いでいます。「SN400C種は、板厚方向に引張力を受ける部材に用いるため絞り値が規定されている。」も正しく、通し柱のダイアフラムなどが対象です。「SMA材は銅やクロムなどを添加した鋼材で、表面に緻密なさび層を形成し腐食を抑える。」も正しく、耐候性鋼と呼ばれます。

試験の罠
SN材はA種、B種、C種の順に保証内容が増えます。A種は溶接を前提としない部材向け、B種は一般の溶接構造用、C種はさらに板厚方向の性能を保証、という三段階で覚えます。TMCP鋼は「炭素当量が低い、溶接しやすい、厚板でも強度が落ちない」の三点セットです。
問41-14

鋼材の靭性および降伏比に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①シャルピー衝撃試験は、切欠きを付けた試験片を打撃して吸収エネルギーを測定する。
  • ②シャルピー吸収エネルギーは、試験温度が低くなるほど大きくなる傾向を示す。
  • ③降伏比が高い鋼材は、降伏してから破断に至るまでの余裕が小さいといえる。
  • ④建築構造用圧延鋼材のB種は、降伏比の上限が80%と定められている。
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正解 ②シャルピー吸収エネルギーは、試験温度が低くなるほど大きくなる傾向を示す。
解説
シャルピー吸収エネルギーは、鋼材が衝撃を受けたときにどれだけのエネルギーを吸収して壊れるかを表す値で、粘り強さの指標です。鋼材は温度が下がるほど脆くなる性質があり、ある温度を境に急に脆い壊れ方に変わります。この変化を延性脆性遷移といい、遷移温度より低い温度では吸収エネルギーが大きく下がります。したがって温度が低くなるほど大きくなるという記述は逆で誤りです。冬季に低温にさらされる部材や、寒冷地の建築物では、想定される最低温度でも十分な吸収エネルギーが確保できる鋼材を選ぶ必要があります。建築構造用圧延鋼材のB種およびC種では、0℃における吸収エネルギーが27J以上と規定されています。

他の選択肢が不適切な理由
「シャルピー衝撃試験は、切欠きを付けた試験片を打撃して吸収エネルギーを測定する。」は正しく、切欠きを設けるのは応力が集中する不利な条件を再現するためです。「降伏比が高い鋼材は、降伏してから破断に至るまでの余裕が小さいといえる。」も正しく、粘りが乏しいことを意味します。「建築構造用圧延鋼材のB種は、降伏比の上限が80%と定められている。」も正しく、塑性変形能力を確保するための規定です。

試験の罠
温度と靭性の関係は「低温になるほど脆い」と一言で押さえます。27J、0℃、80%という三つの数値はセットで問われます。降伏比は小さいほど良く、実積率などとは違って「高いほど良い」と勘違いしやすいので注意します。
問51-14

鉄筋コンクリート構造に用いる鉄筋に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①SD345の数値は、その鉄筋の降伏点の下限値を表す数値となっている。
  • ②SD390は、SD345に比べて降伏点が高く伸びの規定値も大きくなる。
  • ③異形鉄筋のリブとは、鉄筋の長さ方向に平行に付けられた突起のことをいう。
  • ④鉄筋の呼び名D22は、公称直径がおよそ22mmであることを示す。
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正解 ②SD390は、SD345に比べて降伏点が高く伸びの規定値も大きくなる。
解説
鉄筋は強度が高い種類ほど硬く、その代わりに伸びる能力が小さくなります。日本産業規格でも、SD295、SD345、SD390、SD490と強度が上がるにつれて、引張試験で求める伸びの規定値はむしろ小さくなる方向で定められています。したがってSD390のほうが伸びの規定値も大きくなるという記述は誤りです。これは炭素量や合金元素を増やして強度を得た結果として靭性が下がるという、鋼材全般に共通する性質の表れです。高強度鉄筋を用いると鉄筋の本数を減らせて配筋が楽になり、コンクリートの充填性も改善しますが、その分だけ部材の粘り強さは慎重に検討する必要があり、使用できる部位や継手の方法にも制限が加わります。

他の選択肢が不適切な理由
「SD345の数値は、その鉄筋の降伏点の下限値を表す数値となっている。」は正しく、実際の規格値は345以上440以下という範囲で定められています。「異形鉄筋のリブとは、鉄筋の長さ方向に平行に付けられた突起のことをいう。」も正しく、これに直交する突起が節です。「鉄筋の呼び名D22は、公称直径がおよそ22mmであることを示す。」も正しい説明です。

試験の罠
SDのあとの数値は降伏点の下限であって引張強さではありません。降伏点には上限も定められている点も狙われます。リブは長さ方向に平行、節はそれに直交する突起という区別も頻出で、付着力に主に効くのは節のほうです。
問61-14

高温時における鋼材の性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①鋼材の引張強さは、およそ250℃から300℃の範囲で最大の値を示す。
  • ②鋼材の強度は、500℃に達したときにおよそ常温時の半分程度まで低下する。
  • ③鋼材のヤング係数は、温度が上昇しても1000℃に達するまでほぼ低下しない。
  • ④鋼材は1000℃近くになると強度をほとんど失うため、耐火被覆が必要とされる。
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正解 ③鋼材のヤング係数は、温度が上昇しても1000℃に達するまでほぼ低下しない。
解説
鋼材のヤング係数は、温度が上がるにつれて連続的に低下していきます。おおむね500℃では常温時の半分程度、700℃を超えると2割以下にまで落ち、1000℃に達するまでほとんど低下しないという記述は誤りです。ヤング係数は原子どうしの結合力で決まる値であり、温度が上がって原子の熱運動が激しくなれば結合はゆるみ、同じ力に対して大きく変形するようになります。強度とヤング係数がともに低下するため、火災時の鋼構造は強度不足と過大な変形の両面から危険になります。日本の建築基準法が鋼構造に耐火被覆を求めているのはこのためで、被覆によって一定時間、鋼材の温度が上がらないようにして避難と消火の時間を確保します。

他の選択肢が不適切な理由
「鋼材の引張強さは、およそ250℃から300℃の範囲で最大の値を示す。」は正しく、青熱脆性と呼ばれる現象で、強度は上がる一方で伸びは著しく落ちます。「鋼材の強度は、500℃に達したときにおよそ常温時の半分程度まで低下する。」も正しく、耐火設計で基準となる温度です。「鋼材は1000℃近くになると強度をほとんど失うため、耐火被覆が必要とされる。」も正しい説明です。

試験の罠
常温より強くなる温度帯があるという点が意外性のある知識で、250℃から300℃という数値が問われます。500℃で半分、1000℃でほぼ零という三つの目安を順に覚えます。ヤング係数は常温では強度によらず一定ですが、高温では低下するという場面の違いに注意します。
問71-14

建築に用いるアルミニウム合金に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①アルミニウムの密度は、およそ鋼材の三分の一程度の大きさとなっている。
  • ②アルミニウム合金のヤング係数は、鋼材のそれのおよそ三分の一程度である。
  • ③アルミニウムの線膨張係数は、鋼材のそれのおよそ2倍の大きさである。
  • ④アルミニウムは表面に生じる酸化被膜が弱く、大気中では腐食が進みやすい。
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正解 ④アルミニウムは表面に生じる酸化被膜が弱く、大気中では腐食が進みやすい。
解説
アルミニウムは化学的には反応しやすい金属ですが、空気に触れるとただちに表面に緻密で安定した酸化被膜をつくり、その被膜が内部を守るため、大気中ではきわめて腐食しにくい材料です。したがって被膜が弱く腐食が進みやすいという記述は誤りです。建築ではこの性質を人工的に強めた陽極酸化処理を施し、サッシやカーテンウォールに広く使われています。ただしこの被膜は酸やアルカリに弱く、とくにコンクリートやモルタルのアルカリ分に触れると溶けて腐食が進みます。そのためアルミニウム部材がコンクリートに接する部分では、絶縁塗料を塗るかシート等で縁を切る処理が必要になります。

他の選択肢が不適切な理由
「アルミニウムの密度は、およそ鋼材の三分の一程度の大きさとなっている。」は正しく、比重にしておよそ2.7です。「アルミニウム合金のヤング係数は、鋼材のそれのおよそ三分の一程度である。」も正しく、同じ断面なら鋼よりよくたわみます。「アルミニウムの線膨張係数は、鋼材のそれのおよそ2倍の大きさである。」も正しく、長い部材では温度変化による伸縮を吸収する納まりが必要になります。

試験の罠
密度も三分の一、ヤング係数も三分の一、線膨張係数だけが2倍という組合せで覚えると混乱しません。腐食の弱点は「大気中ではなくアルカリと異種金属との接触」であり、弱点の場面をすり替える出題が定番です。
問81-14

建築に用いる非鉄金属および表面処理に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①ステンレス鋼のSUS304は、クロムとニッケルを含み耐食性に優れた鋼種である。
  • ②ステンレス鋼のSUS430は、SUS304に比べて耐食性がより優れている。
  • ③銅は、アルカリ性の材料に接すると腐食しやすく、モルタルとの接触を避ける。
  • ④溶融亜鉛めっきは、鉄よりも先に亜鉛が溶け出すことで鋼材の腐食を抑えている。
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正解 ②ステンレス鋼のSUS430は、SUS304に比べて耐食性がより優れている。
解説
SUS430はクロムをおよそ18%含みますがニッケルを含まないフェライト系のステンレス鋼で、ニッケルを8%程度含むオーステナイト系のSUS304に比べると耐食性は劣ります。したがってSUS430のほうが優れているという記述は誤りです。ニッケルは表面の不動態被膜をより安定させる働きをするため、海に近い地域や塩害を受ける環境ではSUS304以上の鋼種が用いられます。SUS430は価格が安く磁石に付く性質があり、室内の建具金物など腐食条件のゆるやかな箇所で使われます。屋外での使用可否を判断する際は、鋼種の番号だけでなくニッケルを含むかどうかを確認することが実務上の要点です。

他の選択肢が不適切な理由
「ステンレス鋼のSUS304は、クロムとニッケルを含み耐食性に優れた鋼種である。」は正しく、およそ18%のクロムと8%のニッケルを含みます。「銅は、アルカリ性の材料に接すると腐食しやすく、モルタルとの接触を避ける。」も正しく、屋根の銅板と左官材料が接する納まりでは注意が要ります。「溶融亜鉛めっきは、鉄よりも先に亜鉛が溶け出すことで鋼材の腐食を抑えている。」も正しく、犠牲防食と呼ばれる仕組みです。

試験の罠
SUS304とSUS430はどちらもクロムが18%程度で紛らわしいですが、ニッケルの有無で耐食性と磁性が分かれます。磁石に付かないのがSUS304、付くのがSUS430という覚え方が確実です。
問91-14

金属材料の腐食とその防止に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①異種の金属が接して水に触れると、イオン化傾向の小さい金属のほうが腐食する。
  • ②耐候性鋼は表面に安定さび層が生じるまでの間、さびの流出による汚れが生じる。
  • ③アルミニウム部材が鋼材に接する箇所では、絶縁材を挟んで直接の接触を避ける。
  • ④亜鉛めっき鋼板の切断面は、亜鉛の犠牲防食作用によって腐食が抑えられている。
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正解 ①異種の金属が接して水に触れると、イオン化傾向の小さい金属のほうが腐食する。
解説
異なる種類の金属が接した状態で水分にさらされると、両者の間に電池と同じ回路ができて、イオンになりやすい金属、すなわちイオン化傾向の大きいほうが溶け出して腐食します。これを異種金属接触腐食といいます。したがってイオン化傾向の小さい金属のほうが腐食するという記述は逆で誤りです。建築で問題になる組合せは、アルミニウムと鋼、亜鉛と銅などで、アルミニウムのサッシがステンレスのビスに接する箇所や、銅の樋の下に亜鉛めっき鋼板がある納まりで局所的な腐食が進みます。防止するには、絶縁材を挟んで両者の間の電気の流れを断つか、塗装などで水分が両金属にまたがって触れないようにします。

他の選択肢が不適切な理由
「耐候性鋼は表面に安定さび層が生じるまでの間、さびの流出による汚れが生じる。」は正しく、周辺の仕上げ面を汚さない計画が必要です。「アルミニウム部材が鋼材に接する箇所では、絶縁材を挟んで直接の接触を避ける。」も正しく、まさに異種金属接触腐食の対策です。「亜鉛めっき鋼板の切断面は、亜鉛の犠牲防食作用によって腐食が抑えられている。」も正しく、切断で鉄が露出しても周囲の亜鉛が先に溶けて鉄を守ります。

試験の罠
イオン化傾向の大小と腐食する側の対応は必ず問われます。「イオンになりやすいほうが身代わりになる」と覚えれば、犠牲防食で亜鉛が溶ける理由も同じ理屈で説明できます。耐候性鋼は無塗装で使えますが、海岸に近い地域では塩分により安定さび層が生成しない点も出題されます。
問101-14

鋼構造に用いる接合材料に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①高力ボルトF10Tの記号のうち、10は引張強さの下限値の水準を表している。
  • ②高力ボルト摩擦接合では、締付けにより生じる材間の圧縮力で応力を伝達する。
  • ③溶接に用いる被覆アーク溶接棒は、湿気を吸うと割れの原因となるため乾燥させる。
  • ④トルシア形高力ボルトは、締付け完了時にナットが破断して締付力を確認できる。
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正解 ④トルシア形高力ボルトは、締付け完了時にナットが破断して締付力を確認できる。
解説
トルシア形高力ボルトは、ボルトの先端にピンテールと呼ばれる突起が付いており、専用の締付け機で締めていくと、所定のトルクに達した時点でこのピンテールが破断して脱落します。破断するのはナットではなくピンテールなので、記述は誤りです。ナットが破断してしまえば接合そのものが成立しません。この仕組みの利点は、ピンテールが落ちたかどうかを見るだけで締付けの完了が確認でき、トルクレンチによる測定を一本ごとに行う必要がないことです。締付け後の検査では、ピンテールの破断に加えて、共回りや軸回りがないこと、ナットの回転量が適正であることをマーキングのずれで確認します。

他の選択肢が不適切な理由
「高力ボルトF10Tの記号のうち、10は引張強さの下限値の水準を表している。」は正しく、1000N/mm2級であることを示します。「高力ボルト摩擦接合では、締付けにより生じる材間の圧縮力で応力を伝達する。」も正しく、板どうしを強く押し付けて生じる摩擦で力を伝えます。「溶接に用いる被覆アーク溶接棒は、湿気を吸うと割れの原因となるため乾燥させる。」も正しく、吸湿した被覆材から水素が発生して溶接部が割れます。

試験の罠
破断するのはピンテールであってナットではない、という一点が最も狙われます。高力ボルト摩擦接合はボルトの軸そのものがせん断力を受けるのではなく、板どうしの摩擦で伝えるという原理の違いも頻出です。F10TのTはトルシア形ではなく引張強さを意味する記号です。

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※本ページの問題・解説は、生成AI(人工知能)を活用して作成しています。

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