2026年版・1-11

一般構造:鉄骨構造の一問一答

1級建築施工管理技士「建築学」から、一般構造:鉄骨構造に関する4択問題を10問。「答えと解説を見る」を開くと、正解とその理由がその場で読めます。会員登録は不要です。

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問題

上から順に解いてみてください。答えは各問の下で確認できます。

問11-11

構造用鋼材の性質に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①鋼材のヤング係数は、およそ205000N毎平方ミリメートルである。
  • ②鋼材の比重は、普通コンクリートの比重のおよそ2倍となっている。
  • ③炭素量が増えると引張強さは増すが、伸びは小さくなるものである。
  • ④鋼材の強度は、500℃程度になると常温のおよそ半分に低下する。
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正解 ②鋼材の比重は、普通コンクリートの比重のおよそ2倍となっている。
解説
鋼材の比重はおよそ7.85であり、普通コンクリートの比重であるおよそ2.3と比べると3倍を超えます。したがっておよそ2倍とする記述は誤りです。ただし鉄骨構造の建築物全体が鉄筋コンクリート構造より重くなるわけではありません。鋼材は単位体積当たりの強度が格段に高く、同じ力を支えるのにごくわずかな断面積で済むため、構造体としての総重量は鉄筋コンクリート構造の数分の1に収まります。この軽さが、地震力を小さくできること、基礎の負担を減らせること、長いスパンを飛ばせることといった鉄骨構造の利点につながっています。材料の比重と構造体の重量は別の話であることを区別して理解しておく必要があります。

他の選択肢が不適切な理由
「鋼材のヤング係数は、およそ205000N毎平方ミリメートルである。」という記述は正しく、強度の種別によらずほぼ一定です。「炭素量が増えると引張強さは増すが、伸びは小さくなるものである。」という記述も正しく、同時に溶接性も低下します。「鋼材の強度は、500℃程度になると常温のおよそ半分に低下する。」という記述も正しく、耐火被覆が必要となる理由です。

試験の罠
温度と強度の関係は、およそ250℃から300℃で引張強さが最大となり、その後急激に低下して500℃で約半分、1000℃でほぼゼロになる、という道筋で覚えます。強度が最大となる温度で伸びは逆に最小となり、脆くなる点も併せて押さえましょう。
問21-11

鉄骨構造の特徴に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①鉄骨構造は、同程度の耐力の鉄筋コンクリート構造に比べ軽量である。
  • ②部材が細長くなりやすいため、座屈に対する検討が重要となる。
  • ③鋼材は不燃材料であるが、耐火性能を得るには耐火被覆を要する。
  • ④減衰が大きいため、鉄筋コンクリート構造より振動が生じにくい。
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正解 ④減衰が大きいため、鉄筋コンクリート構造より振動が生じにくい。
解説
減衰とは、揺れのエネルギーが熱などに変わって失われ、振動が収まっていく性質をいいます。鉄骨構造は、部材の内部でひび割れや摩擦がほとんど生じないため減衰が小さく、揺れが長く続きやすくなります。加えて構造体が軽く、剛性も鉄筋コンクリート構造ほど大きくないので、風による揺れや歩行による床の振動が問題になりやすいものです。したがって振動が生じにくいという記述は誤りです。実際の設計では、床の固有振動数を確保するために梁のせいを大きくとったり、制振装置を組み込んで減衰を人為的に高めたりする対策がとられます。地震に対しては粘り強く有利である一方、居住性という別の観点では不利になりうるという二面性を理解しておきましょう。

他の選択肢が不適切な理由
「鉄骨構造は、同程度の耐力の鉄筋コンクリート構造に比べ軽量である。」という記述は正しく、地震力を小さくできます。「部材が細長くなりやすいため、座屈に対する検討が重要となる。」という記述も正しく、強度が高いほど断面が小さくなり座屈が支配的になります。「鋼材は不燃材料であるが、耐火性能を得るには耐火被覆を要する。」という記述も正しいです。

試験の罠
軽くて強いという長所の裏側に、座屈しやすい、揺れやすい、熱に弱いという短所があります。長所と短所を対で覚えると、記述の正誤を判断しやすくなります。不燃であることと耐火性能があることは別の概念である点も繰り返し問われます。
問31-11

高力ボルト摩擦接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①摩擦面のすべり係数は、0.45以上を確保するものとされている。
  • ②摩擦面は、黒皮を除去して赤錆を発生させた状態とするのがよい。
  • ③締付けで導入する張力は、設計ボルト張力と等しい値とすればよい。
  • ④締付けの方法には、ナット回転法とトルクコントロール法がある。
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正解 ③締付けで導入する張力は、設計ボルト張力と等しい値とすればよい。
解説
高力ボルトを締め付けた後、時間の経過とともに座金や部材のなじみ、および接合部のわずかなめり込みによって張力が低下する現象が避けられません。この減少分をあらかじめ見込んでおかないと、最終的な張力が設計で必要とした値を下回り、想定した摩擦力が得られなくなります。そこで施工にあたっては、設計ボルト張力に10%を割り増した値を標準ボルト張力として導入します。したがって設計ボルト張力と等しい値とすればよいという記述は誤りです。摩擦接合はボルトが部材を締め付ける力によって生じる摩擦で力を伝える方式であり、張力の確保がそのまま接合部の耐力に直結するため、締付け管理が特に重視されます。

他の選択肢が不適切な理由
「摩擦面のすべり係数は、0.45以上を確保するものとされている。」という記述は正しいです。「摩擦面は、黒皮を除去して赤錆を発生させた状態とするのがよい。」という記述も正しく、表面を粗くして摩擦を高めるためです。「締付けの方法には、ナット回転法とトルクコントロール法がある。」という記述も正しく、ほかにトルシア形高力ボルトを用いる方法もあります。

試験の罠
数値は、すべり係数0.45以上、導入張力は設計ボルト張力の10%増し、を対で覚えます。摩擦面には塗装をしてはならず、浮き錆や油分も取り除きます。トルシア形高力ボルトでは、ピンテールが破断したことをもって締付けの完了を確認します。
問41-11

鉄骨構造のボルト接合における孔径および配置に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①高力ボルトM24の孔径は、公称軸径に3.0mmを加えた値としてよい。
  • ②高力ボルトM27の孔径は、公称軸径に3.0mmを加えた値としてよい。
  • ③普通ボルトM16の孔径は、公称軸径に1.0mmを加えた値としてよい。
  • ④ボルトの中心間の距離は、公称軸径の2.5倍以上を確保する。
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正解 ①高力ボルトM24の孔径は、公称軸径に3.0mmを加えた値としてよい。
解説
建築基準法施行令第68条第2項は、高力ボルト孔の径を高力ボルトの径より2.0mmを超えて大きくしてはならないと定め、ただし書きで、径が27mm以上であって構造耐力上支障がない場合に限り3.0mmまで大きくできるとしています。M24は27mm未満ですから孔径は26.0mmまでにとどめなければならず、3.0mmを加えてよいとする記述は誤りです。孔をボルトの径より大きくするのは、部材の製作誤差や建方の誤差を吸収して組立てを可能にするためです。一方で孔が大きすぎると、断面の欠損が増えて母材の耐力が下がり、摩擦面として有効な面積も減るうえ、すべりが生じたときの変位も大きくなります。この相反する要求のつり合いから、径の大小に応じた二段階の値が定められています。

他の選択肢が不適切な理由
「高力ボルトM27の孔径は、公称軸径に3.0mmを加えた値としてよい。」という記述は正しく、公称軸径が27mm以上のものに該当するため、構造耐力上支障がなければ孔径を30.0mmまでとすることができます。太径のボルトほど製作誤差の絶対量が大きくなるため、余裕を1.0mmだけ広げています。「普通ボルトM16の孔径は、公称軸径に1.0mmを加えた値としてよい。」という記述も正しく、同条第4項は普通ボルトの孔径をボルトの径より1.0mmを超えて大きくしてはならないと定め、径が20mm以上で構造耐力上支障がない場合に限り1.5mmまで認めています。普通ボルトは軸部が孔の縁に当たって支圧で力を伝えるため、高力ボルトより余裕を小さくする必要があります。「ボルトの中心間の距離は、公称軸径の2.5倍以上を確保する。」という記述も正しく、同条第1項によるものです。孔が近すぎると孔と孔の間の母材が引きちぎられるように破断するためです。

試験の罠
高力ボルトの境目は27mmであり、M24までが2.0mm、M27からが3.0mmです。24mmを境目と覚えてしまう誤りが多いので注意しましょう。普通ボルトは境目が20mmで、1.0mmと1.5mmという別の組になる点も対で押さえます。縁端距離はせん断縁か圧延縁かで値が異なり、切断面の粗さに応じて必要な距離が変わることも確認しておきましょう。
問51-11

隅肉溶接に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①重ね継手の重ね幅は、薄いほうの母材の厚さの3倍以上を確保する。
  • ②隅肉溶接のサイズは、薄いほうの母材の厚さ以下とするものとする。
  • ③有効長さは、サイズの10倍以上かつ40mm以上を確保するものとする。
  • ④有効のど厚は、隅肉溶接のサイズに0.7を乗じた値として算定する。
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正解 ①重ね継手の重ね幅は、薄いほうの母材の厚さの3倍以上を確保する。
解説
応力を伝える重ね継手では、重ね幅を薄いほうの母材の厚さの5倍以上、かつ30mm以上確保することとされています。したがって3倍以上とする記述は誤りです。重ね幅が小さいと、二つの母材をつなぐ二本の隅肉溶接の距離が近づき、力の流れが急に曲がることで溶接部に大きな回転作用が生じます。その結果、溶接部が板をはがすように破断しやすくなります。5倍という値は、力が滑らかに伝わるだけの距離を確保するための最低限の目安であり、板が薄い場合でも30mmという絶対値の下限が併せて定められています。

他の選択肢が不適切な理由
「隅肉溶接のサイズは、薄いほうの母材の厚さ以下とするものとする。」という記述は正しく、これを超えると溶け落ちや過大な入熱を招きます。「有効長さは、サイズの10倍以上かつ40mm以上を確保するものとする。」という記述も正しく、短すぎる溶接は始端と終端の欠陥の割合が大きくなるためです。「有効のど厚は、隅肉溶接のサイズに0.7を乗じた値として算定する。」という記述も正しいです。

試験の罠
数値は、サイズが薄いほうの母材の厚さ以下、有効長さがサイズの10倍以上かつ40mm以上、のど厚がサイズの0.7倍、重ね幅が薄いほうの母材の厚さの5倍以上かつ30mm以上、を一組で覚えます。0.7という係数は2の平方根の逆数に由来します。
問61-11

鉄骨の溶接施工に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①エンドタブは、始端と終端に生じる欠陥を母材の外へ出すために用いる。
  • ②裏当て金は、完全溶込み溶接を片側から行う場合に用いるものである。
  • ③スカラップは、溶接線が交差することを避けるために設ける切欠きである。
  • ④開先の形状は、母材の板厚にかかわらず必ずI形とするのが原則である。
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正解 ④開先の形状は、母材の板厚にかかわらず必ずI形とするのが原則である。
解説
開先とは、完全溶込み溶接を行うために母材の端部を斜めに削って設ける溝のことです。溶接棒やワイヤを板厚の全体にわたって届かせ、根元まで確実に溶かし込む必要があるため、板厚が増すほど開先を広くとらなければなりません。薄い板ではI形すなわち開先を設けない形状も用いられますが、板が厚くなるとV形、レ形、K形、U形などを板厚と施工条件に応じて使い分けます。したがって板厚にかかわらずI形とするという記述は誤りです。開先を大きくとれば溶着金属の量が増えて溶接の変形や残留応力が大きくなるので、確実な溶込みと入熱の抑制のつり合いから形状と角度を選びます。

他の選択肢が不適切な理由
「エンドタブは、始端と終端に生じる欠陥を母材の外へ出すために用いる。」という記述は正しく、溶接の開始と終了の部分は品質が安定しないためです。「裏当て金は、完全溶込み溶接を片側から行う場合に用いるものである。」という記述も正しく、溶けた金属が裏側へ落ちるのを防ぎます。「スカラップは、溶接線が交差することを避けるために設ける切欠きである。」という記述も正しいです。

試験の罠
スカラップは応力が集中しやすいため、近年ではこれを設けないノンスカラップ工法が多く用いられています。エンドタブは溶接後に切断してグラインダーで仕上げる場合と、そのまま残す場合があります。裏当て金は原則として取り外さない点も押さえましょう。
問71-11

鉄骨構造の柱脚に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①露出形式柱脚は、三つの形式のうち最も回転に対する拘束が小さい。
  • ②根巻き形式柱脚の根巻き部分の高さは、柱せいの1.5倍以上とする。
  • ③埋込み形式柱脚の埋込みの深さは、柱せいの2倍以上を標準とする。
  • ④ベースプレートの厚さは、アンカーボルトの径の1.3倍以上とする。
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正解 ②根巻き形式柱脚の根巻き部分の高さは、柱せいの1.5倍以上とする。
解説
根巻き形式柱脚は、鉄骨柱の脚部の周囲を鉄筋コンクリートで巻き立てて固定度を高める形式であり、その根巻き部分の高さは柱せいの2.5倍以上を標準とします。したがって1.5倍以上とする記述は誤りです。根巻き部分は、柱に生じる曲げモーメントを鉄筋コンクリートの部分に伝えて基礎へ流す役割を担うので、十分な高さがなければ力を伝えきれず、根巻きの上端で鉄骨が急激に曲がって損傷します。柱脚の三つの形式は固定度に差があり、露出形式が最も小さく、根巻き形式が中間、埋込み形式が最も大きくなります。構造計算では、想定した固定度が実際に得られるよう、それぞれの形式に応じた寸法と配筋の規定を満たす必要があります。

他の選択肢が不適切な理由
「露出形式柱脚は、三つの形式のうち最も回転に対する拘束が小さい。」という記述は正しく、半剛接合として扱うことが多いものです。「埋込み形式柱脚の埋込みの深さは、柱せいの2倍以上を標準とする。」という記述も正しく、固定度が最も高い形式です。「ベースプレートの厚さは、アンカーボルトの径の1.3倍以上とする。」という記述も正しく、板が薄いと曲がって張力を伝えられないためです。

試験の罠
数値は、根巻きの高さが柱せいの2.5倍以上、埋込みの深さが柱せいの2倍以上、ベースプレートの厚さがアンカーボルト径の1.3倍以上、を一組で覚えます。2.5倍と2倍を取り違えやすいので、根巻きのほうが大きいと押さえましょう。
問81-11

鉄骨部材の座屈に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①板要素の幅厚比が大きいほど、局部座屈が生じやすいものである。
  • ②部材の細長比が大きいほど、部材全体の座屈が生じやすくなる。
  • ③板要素の幅厚比は、部材の塑性変形能力とは無関係な指標である。
  • ④H形鋼のはりでは、横座屈を防ぐために横補剛材を設けるのがよい。
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正解 ③板要素の幅厚比は、部材の塑性変形能力とは無関係な指標である。
解説
幅厚比とは、フランジやウェブといった板要素の幅を板厚で除した値であり、この値が大きいほど板が薄く広いことを意味し、局部的に波打つように座屈しやすくなります。局部座屈が起きると、部材が全体として降伏して大きく変形する前に耐力が落ちてしまうため、粘り強さすなわち塑性変形能力が失われます。したがって塑性変形能力と無関係とする記述は誤りです。鋼構造の設計では、部材に求める変形性能の水準に応じて幅厚比の上限が段階的に定められており、大きな塑性変形を期待する部材ほど厳しい制限が課されます。幅厚比を小さくするには、板厚を増すか板の幅を狭くします。

他の選択肢が不適切な理由
「板要素の幅厚比が大きいほど、局部座屈が生じやすいものである。」という記述は正しいです。「部材の細長比が大きいほど、部材全体の座屈が生じやすくなる。」という記述も正しく、細長比は座屈長さを断面二次半径で除した値です。「H形鋼のはりでは、横座屈を防ぐために横補剛材を設けるのがよい。」という記述も正しく、圧縮側フランジが横へはらむのを抑えます。

試験の罠
座屈は三つの段階で整理します。板の一部が波打つ局部座屈、はりが横へねじれる横座屈、柱全体が曲がる曲げ座屈です。それぞれ、幅厚比、横補剛の間隔、細長比という別の指標で管理されることを対応させて覚えましょう。
問91-11

鉄骨構造の接合に関する記述として、最も不適当なものはどれか。

  • ①高力ボルト摩擦接合と溶接を併用する場合、先に高力ボルトを締め付ける。
  • ②溶接を先に行った場合は、全応力を溶接が負担するものとして設計する。
  • ③高力ボルト摩擦接合と普通ボルトを併用する場合、両者の耐力を加算する。
  • ④普通ボルトは、軒高や延べ面積が一定以下の建築物に限り使用できる。
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正解 ③高力ボルト摩擦接合と普通ボルトを併用する場合、両者の耐力を加算する。
解説
高力ボルト摩擦接合は、ボルトの締付けによって生じる摩擦で力を伝える方式であり、部材がほとんどずれない状態で耐力を発揮します。これに対し普通ボルトは、部材がわずかにずれてボルトの軸部が孔の縁に当たることではじめて力を伝える支圧の方式です。力を伝えはじめる変形の段階がまったく異なるため、両者を併用しても同時に最大の耐力を発揮することはなく、耐力を単純に加算することはできません。したがってこの記述は誤りです。同じ理由から、高力ボルト摩擦接合とリベットの併用や、溶接を先に行った場合の併用についても、加算は認められていません。

他の選択肢が不適切な理由
「高力ボルト摩擦接合と溶接を併用する場合、先に高力ボルトを締め付ける。」という記述は正しく、この順序であれば両者の耐力を加算できます。「溶接を先に行った場合は、全応力を溶接が負担するものとして設計する。」という記述も正しく、溶接の熱で部材が変形して摩擦面が密着しなくなるためです。「普通ボルトは、軒高や延べ面積が一定以下の建築物に限り使用できる。」という記述も正しく、建築基準法施行令第67条によるものです。

試験の罠
併用の可否は、力を伝えはじめる変形の段階がそろっているかどうかで決まります。高力ボルトを先に締めた場合の溶接との併用だけが加算を認められています。普通ボルトの使用制限は、軒高9m以下、張り間13m以下、延べ面積3000平方メートル以下であり、緩み止めの措置も必要です。
問101-11

建築構造用圧延鋼材および鋼材の性質に関する記述として、最も適当なものはどれか。

  • ①降伏比の小さい鋼材ほど、塑性変形の能力に優れているといえる。
  • ②SN材のA種は、溶接を伴う主要な構造部位に用いるものとされる。
  • ③SN材のC種は、板厚方向の絞り値が規定されていない鋼材である。
  • ④鋼材の引張強さは、温度が300℃程度のときに最も小さくなる。
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正解 ①降伏比の小さい鋼材ほど、塑性変形の能力に優れているといえる。
解説
降伏比とは、降伏点を引張強さで除した値をいいます。この値が小さいということは、降伏してから破断に至るまでの余裕が大きいことを意味します。地震時に部材が降伏した後も、破断せずに大きく変形しながら耐力を保ち続けられるので、地震のエネルギーを吸収する能力が高くなります。建築構造用圧延鋼材では降伏点の上限も定められており、これは降伏点が想定より高くなると、意図した部材より先に別の部材が壊れて設計どおりの壊れ方をしなくなることを防ぐためです。強ければよいのではなく、想定した範囲の強さで粘り強く変形することが構造用鋼材には求められます。

他の選択肢が不適切な理由
「SN材のA種は、溶接を伴う主要な構造部位に用いるものとされる。」という記述は誤りで、A種は溶接性が保証されておらず、溶接を行わない部位に限って用います。「SN材のC種は、板厚方向の絞り値が規定されていない鋼材である。」という記述も誤りで、C種はまさに板厚方向の絞り値が規定された鋼材です。「鋼材の引張強さは、温度が300℃程度のときに最も小さくなる。」という記述も誤りで、この温度帯では逆に最大となります。

試験の罠
SN材の種別は、A種が溶接をしない部位、B種が溶接を伴う一般の部位、C種が板厚方向に引張力を受ける部位、と用途で覚えます。C種は、柱に梁が取り付く部分などで板を厚さ方向に引きはがす力が働き、層状に割れるラメラティアと呼ばれる欠陥を防ぐために用いられます。

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